村上 春樹
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オウム真理教の信者の方々へのインタビュー集。最後の河合隼雄氏との対談が特に興味深かった。
善悪の定義は難しいという話は共感できる。悪を抱えて生きるという題名も示唆的だ。
異質なものを排除して純粋にしてしまうと、逆に危険になるという。これは私も今の社会は非寛容だと感じていて、だからこそ社会問題が起きるのだと感じていることと共感した。
また、直感が冴えてなんでもお見通し状態になることがあると河合氏もいう。きっと麻原もそういう状態にあったのだろう。だが、その状態を喜んでいるようではダメだと。それが危険で魔境なのだろう。驕り高ぶる危険を乗り越えるのは難しい。
あとがきで村上氏が、オウムという存在は、戦前の満州国の存在と似ているいう話が面白かった。同じ理想主義者の集まりで大義もあった。しかし、そこには「言葉と行為の同一性」が欠けていたという。
オウムに欠けていたのも、「広い世界観の欠如」とそこから派生する「言葉と行為の乖離」だという。
もし村上氏が林郁夫の友人だったらどんな言葉を語るべきだったかの言葉を紹介する。
自戒を込めてこの言葉も紹介する。
オウム真理教の信者の方々へのインタビュー集。最後の河合隼雄氏との対談が特に興味深かった。
善悪の定義は難しいという話は共感できる。悪を抱えて生きるという題名も示唆的だ。
異質なものを排除して純粋にしてしまうと、逆に危険になるという。これは私も今の社会は非寛容だと感じていて、だからこそ社会問題が起きるのだと感じていることと共感した。
「あれだけ純粋なものが内側にしっかり集まっていると、外側に殺してもいいようなものすごい悪いやつがいないと、うまくバランスが取れません。そうなると、外にうって出ないことには、中でものすごい喧嘩が起こって、内側から組織が崩壊するかもしれない」
「人間が頭でものを考えて、整合的で良いことを書き出したら、悪が入り込めないんです。そういう点で言うとね、『原罪』を始めから持っているなんていうのは、それはものすごいことを考えたものです。西欧人は『みんな原罪を持っている』とはっきり言うとおるわけですよね」
「面白いことに、あまり早く悟った人というのは、その悟りを他人のために役立てることができない場合が多いです。それに比べると、苦労して時間をかけて、『どうしてこんなに悟れへんのやろう。どうして自分だけあかんのやろう』と悩みながら悟った人の方が、他人の役に立つ場合が多いんです。煩悩世界を相当持っていて、なおかつ悟るからこそ意味があるんです」
また、直感が冴えてなんでもお見通し状態になることがあると河合氏もいう。きっと麻原もそういう状態にあったのだろう。だが、その状態を喜んでいるようではダメだと。それが危険で魔境なのだろう。驕り高ぶる危険を乗り越えるのは難しい。
あとがきで村上氏が、オウムという存在は、戦前の満州国の存在と似ているいう話が面白かった。同じ理想主義者の集まりで大義もあった。しかし、そこには「言葉と行為の同一性」が欠けていたという。
オウムに欠けていたのも、「広い世界観の欠如」とそこから派生する「言葉と行為の乖離」だという。
もし村上氏が林郁夫の友人だったらどんな言葉を語るべきだったかの言葉を紹介する。
「現実というのは、もともとが混乱や矛盾を含んで成立しているものであるのだし、混乱や矛盾を排除してしまえば、それはもはや現実ではないのです」
「そして一見整合的に見える言葉や論理に従って、うまく現実の一部を排除できたと思っても、その排除された現実は、必ずどこかで待ち伏せしてあなたに復讐することでしょう」
自戒を込めてこの言葉も紹介する。
いちばん空しいのは、「功利的な社会」に対してもっとも批判的であるべきはずの者が、言うなれば「論理の功利性」を武器にして、多くの人々を破滅させていったことなのかもしれない
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