村上 春樹
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地下鉄サリン事件のあの場所ではどんなことが起きていたのか?現場に遭遇した人々のインタビュー集である。被害者の人生を少しだけ追体験できた感じがする。最後に著者が紹介されていた、アメリカの作家ラッセル・バンクスの言葉が印象的だった。
村上氏はオウム真理教は社会の鏡ではないかというような話を書いていた。彼らの物語に対抗できる物語があるのだろうかと。
著者はいう。
現実や社会を肯定する物語が今こそ求められている。答えを来世に求めてはならないのだ。
地下鉄サリン事件のあの場所ではどんなことが起きていたのか?現場に遭遇した人々のインタビュー集である。被害者の人生を少しだけ追体験できた感じがする。最後に著者が紹介されていた、アメリカの作家ラッセル・バンクスの言葉が印象的だった。
「自我より大きな力を持ったもの、たとえば歴史、あるいは神、無意識といったものに身を委ねるとき、人はいともたやすく目の前の出来事の脈絡を失ってしまう。人生が物語としての流れを失ってしまうのだ」(黒原敏行訳) 「大陸漂流」より
村上氏はオウム真理教は社会の鏡ではないかというような話を書いていた。彼らの物語に対抗できる物語があるのだろうかと。
著者はいう。
「実際に戦っていたのは麻原彰晃ただ一人であり、多くの信者たちは闘いを欲する麻原彰晃の自我の中に呑み込まれ、それに同化していたのだ。そしてまた信者たちは一方的に麻原にマインド・コントロールされていたわけではない。純粋の受け身の被害者であったわけではない。彼ら自身、積極的に麻原にコントロールされることを求めていたのだ。マインド・コントロールとは求められるだけのものではないし、与えられるだけのものではない。それは『求められて、与えられる』相互的なものなのだ」現実に満足できない人々が増えている。彼らの求めるものを与えるものが出てきたとき、喜んで委ねて、気が付いたら一線を越えてしまうことが起きる恐れは変わっていない。
現実や社会を肯定する物語が今こそ求められている。答えを来世に求めてはならないのだ。
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